Health and Medical(健康・医療)

世界に強大なインパクトを与えた新型コロナワクチン候補の最新情報

11月9日、アメリカのファイザーとドイツのBioNTechは、
現時点で、参加者の90%以上に有効であり、深刻な安全上の懸念は観察されていない

とのワクチン候補の大規模な臨床実験(第3相試験)における「中間報告」の結果を発表した。

このビックニュースの速報は、日本時間の11月9日20時45分にファイザーの公式HPから世界中へ報じられた。

この速報の直後、各国の株式市場は過去に例が無いほどの暴騰が一瞬で起き、アメリカ(ダウとS&P500)の株式先物は史上最高値を更新した。

これらに対して、トランプ大統領は、「株式市場が大幅に上昇、ワクチンがすぐに手に入るだろう。90%の効果があるとの報告。なんて素晴らしいニュースだ!」とのコメントを即時にツイートしている。

さて、このように現時点において、まだ中間報告にも関わらず、世界中から期待されて大きな影響を及ぼしている開発中のワクチン候補だが、その詳細を以下に解説する。

ワクチン候補の新メカニズムとは?

ワクチン候補の名称は、「BNT162b2」である。
このワクチン候補は、従来型のワクチンとはメカニズムが全く異なる「mRNAワクチン」だ。

簡単にメカニズムを解説すると、従来型のワクチン(生・不活性化ワクチン)は、「無害化させたコロナウイルスの一部(抗原)を体内に注入することで、人の免疫系にウイルスとの戦い方を学習させ、本物のコロナウイルスに対する免疫(抗体)を獲得する方法」である。

これに対して、mRNAワクチンは、「遺伝情報(mRNA)を基に、自分の細胞自体が無害なコロナウイルスの一部(抗原)を作製することで、人の免疫系にウイルスとの戦い方を学習させ、本物のコロナウイルスに対する免疫(抗体)を獲得する方法」である。

このようなmRNAワクチンのメリットとしては、コロナウイルス(病原体)自体を無害化させてから接種するという工程が無いことだ。このため、危険性が低い(不完全なワクチンによって、無害化しきれていないコロナウイルスを接種して感染してしまうリスクが低い)とされている。
また、安く大量生産に向いているという利点もある。

一方でデメリットとしては、このような新しいメカニズムのため、mRNAワクチンが承認された前例が世界で1件も無い。したがって、長期的な視点で人体にどのような影響があるのかについて検証した実例が無いという点が挙げられる。

中間報告の内容は?

このワクチン候補の大規模な臨床実験(第3相試験)は、7月27日に開始され、昨日11月9日に中間報告が発表された。
なお、中間報告の詳細な臨床データは、ファイザーの公式HPにてPDFで公開されている。


第3相試験の参加者は、米国、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、トルコなどの多くの民族と人種が含まれている。
これまでに4万3538人の参加者が登録され、そのうち3万8955人が11月8日の時点で2回目のワクチン投与を受けている。

なお、このワクチン候補は、2回のワクチン接種を必要とする

このような第3相試験の中間報告として、ワクチン接種者は、2回目のワクチン接種の7日後(1回目のワクチン接種の開始から28日後)において、90%を超えるワクチン有効率を示したとのこと。
また、現時点において、深刻な安全上の懸念は観察されていないとのこと。
ただし、今後の研究が続くにつれて、最終的なワクチンの有効性のパーセンテージは変わる可能性があるとの注意も促している。

なお、ワクチン接種を受けたこれらの参加者のうち、現時点で新型コロナウイルスの感染が確認されたのは94例とのこと。

今後の予定は?

ワクチン接種者の新型コロナウイルスの感染が確認された件数が164例以内の場合、この第3相試験を最終段階まで進めるとのこと。

その後、ファイザーは、16歳から85歳までの米国の緊急使用許可を申請する予定とのこと。

この緊急使用許可の要件としては、参加者4万3538人の約半数においてワクチン接種から2ヵ月後に安全性が確認されたデータの提出が必要である。そして、このデータ提出は、今月11月の第3週に予定されている。

仮に緊急使用許可が出た場合、両社は、2020年内に最大5000万回(2500万人分)の投与を実際に開始し、2021年には最大13億回の投与を行うことができると見積もっている。
なお既に、「日本政府も、来年6月末までに6000万人分のワクチンの供給を受ける」ことをファイザーと基本合意している。

仮に、今月11月の第3週以降に米国で緊急使用許可が出た場合、レムデシビル同様に日本でも速やかに認可され、来年6月末頃までに国民の約半数が接種するかもしれない。
なお偶然にも、11月9日に日本の厚生労働省は、「医療従事者以外のワクチン接種の優先順位は、まずは高齢者、ついで持病のある人」とする方針を決定している。

しかし、このワクチン候補が、民族や年齢によってどのような効果の差があるか、免疫をどのくらいの期間の保持ができるのか、長期的な視点で悪影響(副作用や後遺症など)はないのかなど、まだ多くの疑問がある。

このため、現時点では「安心・期待しすぎない」ことも重要だと思う。

バイデン次期アメリカ大統領候補も、「ワクチン開発の結果に一喜一憂することなく、着実に感染対策を進めていくこと」の重要性をツイートしている。

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