Health and Medical(健康・医療)

[悲報]幼少期のトラウマは、世代を超えて子孫へ影響することが判明

幼少期のトラウマは、長期の心理的および肉体的影響を及ぼすことは広く知られている。

しかし今回、そのトラウマの影響は、彼らが大人へ成長して生んだ子供やその子孫にも影響する可能性があることがわかった

具体的には、幼少期のトラウマが、血液組成(脂質代謝)に生涯にわたる影響を及ぼし、これらの変化が次世代にも遺伝することが実証された

この結果について、ドイツのチューリッヒ大学脳研究所のイザベルマンスイ教授らの研究チームは、10月9日にThe EMBO Journalでの論文公表と、大学の公式ホームページで掲載した。

研究チームが主張する遺伝は、親のDNA配列を介して遺伝するのではなく、ゲノムの活性を調節する「エピゲノム」を含む生物学的要因を介して親から子へ遺伝するとのこと。

なお、エピゲノムとは、「どの遺伝子を使い、どの遺伝子を使わないかを決めるスイッチ」であり、生まれた後も変化する。
エピゲノムは、化学物質・ストレス・その他の外部からの刺激などの要因によって変化してスイッチが切り替わることで、身体が変化する。


まず、研究チームは、動物実験(マウス)で、幼少期に外傷を負ったマウスと、通常に成長したマウスとの間に、血液組成に有意な差があることを明らかにした。

特に、脂質代謝の変化は顕著で、特定の多価不飽和脂肪酸が高濃度で存在していた。そして、この傾向は、このマウスのオスの子孫においても観察された
さらに驚くべきことに、トラウマを負ったマウスの血液を、トラウマを負っていないオスに注射したところ、その子孫にもトラウマの症状が現れた

研究チームはさらなる実験を行い、脂質代謝が生殖細胞にシグナルを伝達する分子メカニズムを発見した。
すなわち、脂肪酸が、細胞表面のPPAR受容体を活性化し、多くの組織で遺伝子発現とDNA構造を調節した。
そして、このPPAR受容体の活性化は、オスのマウスとその子孫において、体重の減少と糖代謝の障害をもたらした


次に、研究者チームは、同様の効果が人間に存在するかどうかを調査した。
これを行うために、パキスタンの保護施設で、父親を亡くし、母親とは別に育った25人の子どもたちの血液と唾液を分析した。

その結果、これら保護施設の孤児は、無傷(普通)の家庭の子供と比較して、脂肪代謝のいくつかの因子が増加していた

これらの孤児たちのトラウマ体験は、マウスモデルと非常によく似ており、孤児たちの代謝はマウスと同様の血液変化を示していたとのこと。

研究チームは、以下のように警告している。
「世界の子どもたちの4分の1が暴力・虐待・ネグレクトに苦しんでいる」
この調査結果は、幼少期の外傷が成人期および世代を超えて、精神的および肉体的健康の両方に影響を与えることを示している」。

あまりにも悲しい研究結果であり、当サイトのテーマに反するニュース(面白くない・明るくない)なので掲載を迷ったが、
世の中から児童虐待やイジメが減る一助になることを祈り、掲載することにした。

今回の研究は、幼少期のトラウマが、本人の成人後やその子孫にも悪影響を及ぼしてしまうという、あまりにも救われない不条理な真実を示した。

本研究結果が虐待・イジメの減少や、治療法の開発へつながることを祈る。

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