Health and Medical(健康・医療)

勉強嫌いの「脳回路」を特定

人は、ある行動を起こすとき、その行動による「代償」と「報酬」を天秤にかけてから、実行するかどうかを判断することがある(動機付け)。

一方で、人は、年齢を重ねるにつれ、新しいことを学ぶ意欲が失われることがよくある。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者は、これらの動機付けに影響する重要な脳回路を特定した。

この脳回路は、特定の行動による「代償」と「報酬」の評価を行ったうえでの意思決定に影響を及ぼすとのこと。

そして、研究者たちは、この脳回路を再活性化することで、高齢者の学習意欲を高めることができ、回路が抑制されることで学習意欲が下がることを発見した。

この発見は、10月27日にMITの公式HPで公開された。

具体的な研究内容は以下の通りである。

研究チームは、脳の「線条体」の全体に分布する「ストリオソーム(striosome)」呼ばれる細胞を研究していたが、その機能は長年の謎だった。

しかし、研究チームは、この脳回路であるストリオソームが「ある意思決定」において重要な役割を果たすことを発見した。

この意思決定とは、代償と報酬の両方の要素を持つ選択肢が与えられると大きなストレスを伴うが、「代償と報酬を一緒に取る決定」をするか、または「代償と報酬の両方を避ける決定」をするか、どちらかを選ぶ意識決定である。

人の脳の線条体(赤色で示す部位)
Image by Wikipedia

◆代償と報酬

研究チームは、線条体(ストリオソーム)の機能を解明するために、マウスによる実験を行い、その脳の活動を測定して分析した。
実験中、マウスには2つの音を聞かせる課題を与えた。

この実験において、1番目の音は代償(嫌悪的な刺激である明るい光を受ける)を伴い、2番目の音は報酬(砂糖水)を伴う。
また、「コツ」として、1番目の音を聞いた時に注ぎ口を少しだけ舐めると光がそれほど明るくならず、2番目の音を聞いた時に注ぎ口をもっと舐めると砂糖水がさらに多く出てくることとも、マウスに「学習」させた。

なお、マウスがこの課題を実行するということは、「代償と報酬の両方を避ける決定」するのではなく、「代償と報酬を一緒に取る決定」をしたということだ。

この実験の結果、マウスが課題を学習すると、線条体(ストリオソーム)が高い活性を示し、この活性がマウスの行動と相関していることを発見した。

◆学習意欲


次に、研究者は、高齢のマウス(13〜21か月、60歳以上の人間とほぼ同等)で同様の実験を行った。

その結果、高齢マウスは、この学習への関与自体が低下することを発見した。
同時に、高齢マウスのストリオソームは、若いマウスと比較して、活性が低下していることを発見した。

さらに、研究チームは、ストリオソームの活性を高めるために、マウスへ遺伝子標的薬を使用したとき、マウスが課題の実行に従事するようになることも発見した。

現在、研究者チームは、人において、このストリオソームを刺激する可能性のある薬物治療に取り組んでいるとのこと。

「人生は、一生勉強だ」という格言は良く聞く。

しかし、子供においても、報酬無しに、親に勉強しろとだけ言われても、やる気が起きない人も多いだろう。

高齢者においても、「もう50~60代だし、今さら勉強してもねぇ~」などと言っている人も多く見かける。

しかし、この発見により、将来的に、「勉強嫌い」の人を勉強好きに更正する治療薬が開発されるかもしれない。

人生100年時代、一生勉強でよねぇ~(早く薬欲しい)

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